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メディアが作る「理想の貧困」 当事者を傷つける「テンプレの物語」 〜理想の貧困(3)
(withnews 2017年11月6日)

 満足にご飯も食べられないけれど、家族を助け、けなげに働き、進学をあきらめる――。メディアが報じる「子どもの貧困」って、どこか似ていませんか。「子どもの貧困」と一口に言っても、子どもたちの性格、環境は多様です。なのに、なぜ、ストーリーは似るのでしょう。子どもの貧困を報じるメディアについて、当事者たちの不満を聞いてみました。

●テンプレな貧困報道

 集まってもらったのは、首都圏の大学に通う男女5人。
 アオイさん(大学2年)、ミユさん(大学2年)、ユウタさん(大学4年)、ヒカリさん(大学4年)、メイさん(大学3年)。全員仮名です。 
 5人とも、経済的に苦しい家庭で育ちました。

 メディアの「典型的な貧困像」と自分たちとのズレについて、語ってもらいます。

「一般的にわかりやすい貧困だけがメディアに取り上げられている気がする。本当はそれだけじゃないのに」(ミユ)

 では、5人が思う「テンプレな貧困報道」とは、どんなものでしょう?

「高校生は、バイトをめっちゃ掛け持ちして頑張る子。大学生は、風俗で学費を稼ぐ子」
「弟や妹を支えるために頑張ってバイトして、自分は進学をあきらめる高校生」
「食べるものがなくて草を食べる」
「夢に向かってけなげに頑張る子」
「シングルマザー。母子家庭だけど、支え合って頑張っています」

 私(記者)は、今まで何度か子どもの貧困を取材してきましたが、
(続き)
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