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生活保護世帯:進学支援へ 最大30万円、大学教材費など
(毎日新聞 2017年12月11日)

 厚生労働省は、生活保護世帯の子どもが大学などへの進学時、最大30万円の給付金を支給する方針を固めた。現在は高校卒業から入学直後に必要な資金が賄えず、進学を断念するケースがある。貧困が親から子に引き継がれる「貧困の連鎖」を防ぐのが狙い。進学後に実家の住宅費を減額する措置も親との同居に限り廃止する。来年度予算案に盛り込むとともに、来年の通常国会に生活保護法などの改正案を提出する。

 厚労省の社会保障審議会の部会は11日、生活保護制度の見直しに向けた報告書をまとめた。これを受け、厚労省は制度を見直す。

 大学などへの進学支援では、進学準備のための資金を創設する。自宅で親と同居する場合は10万円、1人暮らしの学生には30万円を支給する。

 現在は生活保護世帯の高校生がアルバイトで大学進学後に備え貯蓄することを認めていない。一方で奨学金は入学後に支給される。厚労省は、教材費や当面の生活費などに充てる給付金を創設する。その後の授業料や生活費は奨学金の活用を想定している。

 生活保護制度には、子どもが大学などに進学すると別の世帯として扱う「世帯分離」の仕組みがある。生活保護の生活費や住宅費は世帯人数によって決まるため世帯分離で受給額は減る。世帯分離も進学の妨げになると指摘されるが、厚労省は、就職する人とのバランスなどを理由に存続させる。その上で、親と同居する場合には住宅費は減額しない。

 また、生活保護を受ける高齢者の増加を受け、生活保護を受けていない低所得の高齢者に対する就労支援や家計相談も強化。「貧困ビジネス」の温床となっている無料低額宿泊所については、事業開始後の届け出を事前届け出にするなど規制を強化。単身高齢者らの居住が長期化していることを踏まえ、生活支援のある新住宅制度も創設する。

 生活保護費の半分を占める医療費の削減策として、必要がないのに病院に通う頻回受診をする受給者には指導員が病院に同行したりする。【熊谷豪】

◆生活保護制度見直し案(骨子)

▽大学などへの進学支援

・進学時に最大30万円の給付金支給

・進学後も親と同居する場合、住宅費の減額は廃止

▽居住支援の強化

・無料低額宿泊所に対し、事前届け出制など規制強化

・支援付きの新住宅制度創設

▽高齢者の困窮対策

・生活保護の受給前段階の就労支援や家計相談などの強化

▽医療費の節減策

・過剰受診の抑制に向け保健師らが通院に付き添い

・重複処方の防止へ利用薬局の一本化推進

・ジェネリック医薬品(後発薬)使用の原則化