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教員の “奪い合い” 全国の自治体で 教育格差の懸念も
(NHK 3月2日 4時43分教育)

全国で教員不足が深刻になる中、ほかの自治体の教員を採用するため、1次試験の免除など採用試験を見直した教育委員会が全国で8割を超えることがNHKの取材でわかりました。こうした教員の奪い合いについて専門家は「住む地域で教育格差が広がらないよう新たな制度を整えるべきだ」と指摘しています。

小中学校の教員は全国的に不足し、今後、全体の4割近い50代の教員が退職すると、その傾向が加速するとされています。
全国の都道府県と政令指定都市の合わせて68の教育委員会にほかの自治体の教員を対象に採用試験をしているか聞いたところ、「実施している」と答えたのは59の自治体で、全体の86%に上ることがNHKの取材でわかりました。
このうち筆記などの1次試験をすべて免除したところは東京都や大阪府など12の自治体でした。
教員としての「経験年数を問わない」ところも山梨県や京都府など9つに上りました。
福岡県や高知県は、教員が多い首都圏に狙いを定めて東京都に出張して試験を実施していました。
こうした自治体間の “教員の奪い合い” について、教員配置に詳しい慶應義塾大学の佐久間亜紀教授は「教員の奪い合いにより地域間で義務教育の格差が出る可能性がある。それを防ぐための制度が必要だ」と指摘しています。